INTERVIEW

プロジェクト企画協力・監修 手塚眞

『アトム ザ・ビギニング』のできるまで
プロジェクト企画協力・監修 手塚眞が語るインタビューを公開!

―――『アトム ザ・ビギニング』の企画の発端を教えてください。
手塚 月刊ヒーローズさんと私のほうで「新しい手塚治虫のコンテンツを作れないか」という相談を始めたのが最初です。いろいろな作品の名前があがる中、「やっぱり今やるなら『鉄腕アトム』だろう」という話になりました。ただ『アトム』については、浦沢直樹さんが『PLUTO』という大変素敵なリメイクを描かれています。新しいアトムは『PLUTO』とはまた切り口が違うものにしたい。その時に月刊ヒーローズさんから「アトムが生まれる前のお話はどうか」という提案が出てきまして、その方向で新作を考えてみたんです。アトム誕生は2030年(※注)。仮にその時、天馬博士やお茶の水博士が40歳ぐらいだとすると、現在まで遡ると2人はおそらく学生だろう、と。きっと2人はそのころロボット研究をやっていただろう。それはおもしろくなると思いました。

▲若き天馬午太郎とお茶の水博志(左)と2人が開発したロボットA106(エーテンシックス)。

――ベースのアイデアはそうやって固まったのですね。
手塚 はい。それから、こちらでマンガにするためのヒントになりそうなアイデアを用意しつつ、いろんな作家さんとお話しました。そんな中で、ゆうきまさみ先生にお会いしてお話をうかがったところ、そのアイデアがとてもおもしろかったんです。

――どうしてゆうき先生だったんでしょうか。
手塚 アトムは自分の意思を持ったロボットですよね。日本のアニメ・マンガでは、こういうロボットのキャラクターって決して多くはないんです。ロボットというと鉄人28号やエヴァンゲリオンのように「巨大で人が操縦するもの」を思い出す方のほうが多いでしょう。そんな中でゆうき先生は『究極超人あ~る』で、「あ~る」という人型ロボットのキャラクターを描かれています。そのアプローチの仕方に興味を持っておりまして、意見を聞かせていただきたいと思ったんです。

――『あ~る』がきっかけなんですね。
手塚 はい。僕らは普段から手塚治虫の作品に触れているので、それが当たり前になってしまっているんです。導入部分もアトム誕生シーンを描いてそこから遡って描いたらいいんじゃないか、と漠然と考えていました。ところが、それに対してゆうき先生は、まったく新しい物語として始めたほうがいいと主張されたんです。それは目からウロコが落ちました。天馬博士とお茶の水博士が、同じ大学にかよっていて、でもお金がないからアルバイトしているとか、ゆうき先生がキャラクターに生活感を付け加えてくださったんです。

――カサハラテツロー先生は、どういうタイミングで参加されたのでしょうか。
手塚 ゆうき先生は初期にアイデアを出してくださったんですが、スケジュール的に執筆は難しいと。それでゆうき先生の初期のアイデアを踏まえつつ、カサハラテツロー先生にマンガを描いていただくことになりました。カサハラ先生は、メカにこだわりがある方ですし、手塚治虫作品にもこだわりがある方ですので、実作業は基本的におまかせしています。第2巻で、A106以前に天馬とお茶の水が作ったロボットが、ヘビ型など非人間型のデザインをしているところにはカサハラ先生のそんなこだわりを感じました。

▲A106以前に天馬とお茶の水が作成したA10シリーズのロボット達。
A102は飛行型、A104は犬のような四足歩行型、A105は蛇型になっている。

――実際のストーリーなどに手塚プロとして意見をいう時はありますか?
手塚 基本的には思うように描いていただいているんですが、手塚治虫へのオマージュがあまり強くならないように、というところは意識をしています。『アトム ザ・ビギニング』は新しい物語です。違う方法論で原典である手塚治虫からどう離れていけるかを考えたほうがおもしろいと思うからです。まったく新しいお話ではあるけれど、ラストはアトム誕生に到達しなくてはいけないというところは難しい点ですが。でも、原作からぐっと離れて、そこから原作にどう近づいていくかが本作のおもしろさだと思います。手塚治虫の原作を神棚に飾ってしまうのでなく、ポピュラーなものとして改めて外に広げていきたいと考えているんです。

――『アトム』の魅力というのはどこにあると考えますか?

手塚 ピュアな心を持った子供のロボットというキャラクターがまず魅力的ですよね。アトムに馴染みすぎているから、普通に感じるけれど、100万馬力というパワーと子供が持っている純粋性が同居しているところがドラマの源になっていると思います。また現代の視線で読むと、AIやロボットが人間の生活に入ってきた時に何が起きるのかが描かれている予見性にも驚かされますね。

▲100万馬力のパワーと心を持ったロボット・アトム。
©TEZUKA PRODUCTIONS

――アニメにはどの程度タッチされているのでしょうか。
手塚 脚本会議には、私もカサハラ先生もほぼ全回立ち会い、かなり綿密に進めました。アニメだけのオリジナルエピソードもあるので、そこはどんなふうに映像が出来上がってくるか楽しみです。実力あるスタッフの方ばかりなので、映像化の部分についてはもう安心しておまかせしています。

――『アトム』のこれからについては教えてください。
手塚 『アトム ザ・ビギニング』の企画を考えている時に、天馬についていろいろ考えました。天馬は、アトムを作ったあと失踪します。原作では精神状態がおかしくなったからと説明していますが、彼の中で大きな変化があったのでしょう。それがちょっと『スター・ウォーズ』のダースベーダーを思い出させるな、と。そんなことを思いついた時、『ビギニング』『原作』、そして“原作のその後”を描いた作品の3部作として『アトム』を考えることができると思いました。つまり『ビギニング』は、アトム・サーガの第一部なんです。アニメも併せて楽しんでいただければと思います。

(※注)1980年に放送されたテレビアニメ「鉄腕アトム」の劇中では2030年がアトムのもう一つの誕生日であると設定されている。
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